口演 2-4

ひとりで最期を迎えた利用者のデスカンファレンス

堀 美佐子,矢島 弘子,橘 裕美,林 恵,望月 晶子
(群馬県看護協会訪問看護ステーション前橋南)

【目的】ひとりで死を迎えていた独居のがん終末期訪問看護利用者のデスカンファレンスを行った.実践した看護とその意味を振り返り,在宅終末期看護のあり方を考察したので報告する.
【事例紹介】A氏50歳代男性.がん末期.退院と同時に,自営の店の再開と家族からの支援を望まない独居生活を再開した.訪問看護は店舗で行った.A氏は病状が悪化してからも店舗での生活継続を希望した.カンファレンスで,その都度A氏の意向とそれに沿ったケアの検討を行い,共有した.退院25日目,看護師が訪問するとA氏は息を引き取っていた.看護師は,A氏の意思を尊重した最期だったと思う反面,そばにいてほしい人がいたのかもしれない,ひとりで死を迎えさせてよかったのかとジレンマを抱えた.
【倫理的配慮】A氏の家族とカンファレンス参加者に同意を得るとともに,個人が特定できないよう倫理的配慮を行った.
【結果】デスカンファレンスでは,A氏の人間関係を十分把握できていなかった,A氏の望む距離感で関わり,店主としての誇りや自立した生き方を尊重できた,との意見が挙がった.死の迎え方を評価するべきではなく,ひとりで死を迎えたことは否定されることではない,と気づいた.
【考察】看護師は,自らの価値観による理想の最期をコーディネートするのではなく,その人らしい生き方を,その人の価値観にあった形で支援することが大切であることを学んだ.


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