口演 2-2

高齢がん患者との終末期における関わり
  ‐自分の あるべき姿を大切にしていたA氏からの学び

高野 智美,石坂 郁恵,関 邦子,鈴木 真紀子,布施 正子 (利根中央病院)

【目的】終末期にある高齢がん患者の思いに寄り添う援助について学んだため報告する.
【事例紹介】A氏,80歳代女性.虫垂粘液がんのため,予後は週単位であった.夫が他界後は独居で,娘たちは遠方に住んでいる.A氏は夫の死をきっかけに,逝き方について事前の意思表示をされていた.担当医にも「一人で生活できなくなったら家族の世話にはならないで入院したいと思っています.最期は病院で過ごすと決めています」と伝えていた.入院後のA氏は「大丈夫よ.わかっているから」などの発言が多くご本人の希望を捉えられず,どのように関わり援助すればいいのか戸惑い,辛さを抱えたケースであった.倫理的配慮として発表に際しご家族の了承を得た.
【結果】A氏の死後,訪問看護やケアマネージャー等の在宅スタッフにも参加してもらい,デスカンファレンスを行った.デスカンファレンスでは,病棟看護師から「自分の視点とは異なる患者像を知ることができた」「"その人らしさ"を看護へ繋げることを考える機会となった」などの発言が聞かれ,A氏自身が"あるべき姿"をどのように考えていたか改めて理解することができた.
【考察】入院中の姿だけを捉えるのではなく,これまでの生き方や大切にしてきた思いに寄り添うことがA氏を支えていくことに繋がること,そして援助になること学んだ.


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