口演 1-3

がん化学療法が長期化している患者と母親への看護介入

石澤 いずみ,田中 万紀子 (沼田病院)


【目的】がん化学療法が長期化し,お互いが理解し合えていないと感じ,孤立感を抱えながら苦悩している患者・家族に対する看護介入を,アギュララの問題解決型危機モデルを活用し看護の振り返りを行う.
【研究方法】事例検討.所属施設の倫理審査委員会で承認を得た.
【事例紹介】A氏,40歳代,大腸がん術後,リンパ節再発,肺転移
【結果】患者は,化学療法予定日に受診出来ないほど精神的な危機的状況にあること,母親も「本人の気持ちが落ち込んでいるが,話をしてくれないから,私もどうしていいか解らない.」と不安に思っていることを,外来スタッフと情報共有した.母親と患者の面談のタイミングを調整し,それぞれの思いを個別に傾聴した.その結果,母親の不安が軽減され,互いに語り合える関係性に変化した.スタッフ間で情報を共有したことで,タイミングを逃さず対応することが出来た.
【考察】治療が長期化していることで,患者はストレスを抱え不均衡な状態となった.また,医療者と家族の関係が希薄だったため,母親が不安を抱えてしまったと考える.今回,母親と看護師で話す機会を持ったことで,母親にとっての状況的サポートを提供できた結果,母親の不安を軽減し,患者との関係が改善された.そして,患者も孤立感が軽減し,心理的な均衡を取り戻すことが出来たことで,家族とともに前向きに行動しようとするきっかけになったと考える.


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