口演 1-2

要介護度5の認定を受けた患者の在宅療養移行支援を経験して

坂本 佳樹,北城 ひとみ,大谷 貴子
荒木 伸生(群馬大医・附属病院)


【目的】在宅療養を希望する要介護度5の認定を受けた患者と妻の意思決定を尊重し,在宅療養への円滑な移行ができた事例を振り返り,今後の要介護度が高い患者への在宅療養移行支援に活かしたいと考えた.
【事例紹介】A氏(70歳代,男性)と妻(60歳代).A氏は肝がんの骨転移による第5頸椎圧迫骨折のため,四肢不全麻痺が悪化し手術目的で入院となった.術後,麻痺の著明な改善はなく,入院中に要介護度5が認定された.
【倫理的配慮】カルテから情報収集するうえで個人が特定されないよう配慮した.
【結果】医療者はリハビリ転院や施設入所を検討したが,A氏と妻の強い希望から在宅療養を目指すこととなった.そのため,妻が在宅で行う介助を見据え,より退院後のイメージが持てるよう清拭や食事介助に参加してもらった.また,退院支援看護師の協力の元,患者・妻と面談を重ね社会福祉サービスの調整を行った.その上でA氏と妻,病棟の看護師や利用する社会福祉サービスの各担当者間で退院前カンファレンスを実施した.ケア行為への参加により妻の出来ること,サポートが必要なことが明確になり,必要な社会福祉サービスを整えた後,在宅療養へ移行することができた.
【考察・結論】要介護度の高い患者の在宅療養は,入院中から家族のケア参加が有効であるとともに家族の負担軽減のために,患者,家族,病院スタッフ,社会福祉サービススタッフが早期から連携することが重要である.


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