口演 1-1

がん疼痛がある高齢患者のセルフケア能力を高める支援

牧内 美和,渡部 祐子(信州上田医療センター)
京田 亜由美,神田 清子(群馬大院・保・看護学)

【目的】疼痛緩和行動の自己効力感が低下している高齢患者に,患者主体の症状マネジメントの統合的アプローチ(以下IASM理論)を用いて介入を行った結果,セルフケア能力が向上したため報告する.
【研究方法】IASM理論を用いた支援の事例検討.倫理的配慮として,対象者に文書及び口頭にて同意を得た.また個人が特定できないよう配慮した.
【事例紹介】A氏70歳代男性,PS:2,肺がん多発骨転移があり放射線治療が開始となったが,痛みのため同一体位保持困難であった.A氏は「がんの痛みは自分ではどうすることもできない」と話し,自己効力感が低下しているもののセルフケア能力は備わっていると判断した.
【結果】IASM理論を用いて支援を行なった.A氏は自分ではがんの痛みをコントロールすることができないと認識していたため,A氏自身が痛みを理解し,主体的に痛みを緩和する行動を見出せることを目指し,痛み日誌を用いたセルフモニタリングを行った.痛みの出現パターンや性質を視覚化し理解を促したことで「痛みの強さを目安に鎮痛薬を服用すると痛みが楽になる」と鎮痛薬服用のタイミングをA氏自身が見出し,安楽に放射線治療を受けることができた.
【考察】A氏にとって成功体験となるよう支援したことで,自己効力感が向上しセルフケア能力の獲得に至った.IASM理論は高齢患者の個別性を踏まえた支援が可能であり,患者の主体性を高めセルフマネジメント能力向上に有効と考える.


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