示説 6

当院の高齢乳がん患者の現状と看護上の課題

平田 恵美,古池 きよみ,菅原 恵里子 (公立藤岡総合病院)


【目的】日本は2010年に高齢化率23%となり,超高齢社会に突入した.わが国の乳がん罹患率は,女性悪性腫瘍では罹患率第一位であり,40歳代と60歳代にピークがある.超高齢化社会における乳がん患者への看護支援を検討するために,当院の乳がん患者の現状を明らかにした.
【研究方法】2010年と2017年に当院に通院・入院した乳がん患者を対象にした.そのうち,乳がんと診断された件数,手術件数,化学療法件数,放射線療法件数の65歳以上の割合を比較した.研究対象者への倫理的配慮として,院内の倫理委員会の承認を受けた.
【結果】当院に入院した乳がん患者は,2010年39人,2017年41人で,65歳以上の割合は2010年41%,2017年51%であった.乳がんと診断された件数は42%から67%となり,手術件数は41%から64%,また化学療法件数は20%から45.1%,放射線療法件数は44%から60%の増加となった.
【考察・結論】65歳以上の割合は,乳がんと診断された件数,手術件数,化学療法件数,放射線治療件数共に,2010年から7年間で16%〜25%増加していた.この増加率は,日本の高齢化率の増加より上回っていた.高齢患者は複数疾患・多剤内服,予備能の低下,個人差が大きいなどの特徴から,今後もさらにリスクマネジメントが重要となってくる.また,単独,夫婦のみ世帯が増加している現状から社会背景を踏まえた関わりが必要となり,高齢者の治療に関する意思決定支援が課題となってくる.


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