示説 5

化学放射線療法を受ける高齢食道がん患者の口腔粘膜炎に対する看護支援

林 光利,中村 真美,石下 綾乃 (群馬大学医学部附属病院)


【目的】食道がん高齢患者の治療中の口腔粘膜炎症状マネジメントを行う上で有効な看護支援を行ったので報告する.
【研究方法】治療開始6週間後,有害事象が強く出現した事例の看護支援の検討をする.倫理的配慮として,対象者に発表の承諾を得た.
【事例紹介】A氏(70歳代女性)は,食道がんに対して化学放射線療法を行い,治療開始6週間後(DCF2クール目7day,RT:54Gy/27fr)に口腔粘膜炎が増悪し,飲水すらままならない状況であった.治療は完遂することができたが,症状緩和の目処が付かないことが苦痛であった.
【結果】A氏は症状緩和のために口腔ケアを継続できていたが,口腔粘膜炎が遷延していたためモチベーションが低下している状況にあった.そこで,看護師がセルフケア方法を支持し,粘膜再生の観点から8週目ごろには落ち着くという目処を繰り返し伝え,基本的なセルフケアに基づく口腔ケア支援をした.これにより,治療8週目に水分摂取から始めて9週間目には全粥菜食を半量摂取できるまでに改善し退院することができた.
【考察・結論】高齢患者の治療期における口腔粘膜炎症状の改善経過を予測し,A氏に見通しを与えることでセルフケア継続ができるように関与した.不確かさを緩和し,できるという自己効力感を高めるような支援が必要であると考える.また,有害事象が重篤にならないように予防行動を支えることも重要である.


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