口演1-2

間接的安楽死を希望された乳がん術後再発患者に対する倫理的配慮の経験
〇杉原 和美、中澤 たけみ、清水 純子 大沢 雅美、長井 美智子
真木病院 緩和ケアチーム



【目的】がん診療における倫理的問題は多岐に渡り、チームで対応すべきと言われている。今回、乳がん術後再発患者の終末期の生命維持に関する倫理面を中心に事例報告する。
【研究方法】事例検討。所属施設の倫理的規範に基づき、本人の承諾を得て報告する。
【事例紹介】患者は50歳代の女性であり、20XX年に乳がんの手術を受けた。その後再発し化学療法を行うが改善なく、当院へ緩和ケアの依頼があった。患者はパニック症候群の既往があり、がん性リンパ管炎による呼吸苦症状も強かったため、紹介後すぐに入院で緩和医療を開始した。パニックには頻回な訪室や抗不安薬の投与、リンパ管炎にはステロイドの投与、酸素投与により状態が落ち着いたため、在宅酸素療法を導入し、在宅療養に移行した。
【結果】在宅移行後約2ヶ月目に呼吸苦の悪化などで再入院したが、在宅に戻る希望はなく、「眠らせてもらいたい」など間接的な安楽死を願う発言があった。強い不安および発作的な咳や呼吸苦以外は安定していたため、ご家族および緩和ケアチームで検討し、時々家族と会話できるレベルを目指し、穏やかな鎮静を行った。鎮静を開始して約10日間で永眠された。
【考察・結論】がん終末期患者の尊厳死を目指す過程で、本人家族の希望にそった適切な鎮静をチーム医療として行った結果、苦痛軽減した状態で患者とご家族が最後の時間を過ごせたと考える。


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