口演1-1
終末期患者に対する輸液療法〜看護の視点から 考えられること〜
○平井 恵子
沼田病院



【目的】終末期患者との関わりを通し、輸液療法における意味を生命倫理の4原則に沿って振り返る。
【研究方法】事例研究。発表に際し、所属施設の倫理審査の承認を得て、対象者が特定されないように配慮した。
【事例紹介・活動内容】患者は肺がん(ステージW)の女性であった。入院時に脳転移による痙攣が出現、嘔吐を頻回に認めた。輸液治療により心拍数が安定し、嘔吐なく経過した。その後血管確保が困難となり、主治医から血管確保できる時に点滴を実施するよう指示があった。その日の担当看護師が患者の状況をアセスメントし、点滴するか否かを決定していた。この患者への輸液療法に対しチーム間で方向性が統一されず、"延命を望まないなら、点滴をしても苦痛が長くなるだけ"、"点滴をして嘔吐・頻脈の改善に繋がれば苦痛が軽減する"と看護師間でも意見が食い違っていた。
【結果】生命倫理の4原則の視点から考え、患者は意思決定出来ない状態であり、家族の希望は延命せず自然な形での看取りが良いことを確認した。患者はグリセリン・デキサートの輸液により嘔吐症状・頻脈が消失した。
【考察・結論】輸液施行は延命のためではなくADLの最低限の確保、日常生活における苦痛を緩和できたと考えられる。患者・家族の意見を尊重し、主治医の治療方針、チーム間で情報共有、計画・看護介入の見直しすることが、良い医療を提供することにつながると考える。


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