示説 6
結核に罹患したがん患者に対する看護チームアプローチ

○生方 貴子、関根 晃子、八田 綾
渋川医療センター


【目的】結核に罹患したがん患者に対し、結核病棟看護師(以下病棟看護師)と緩和ケアチーム(以下PCT) が協働して看護を行うことで患者のQOLが向上した事例について報告する。
【研究方法】事例研究。個人が特定できないように配慮して研究を行うことを患者に説明し、同意を得た。
【事例紹介】A氏は60歳代男性で、消化器がん術後再発・腸腰筋転移、結核病棟入院中であった。A氏は「結核の上にがんも再発して、痛みもある中で治療をする自信がない。もう死ぬまで結核病棟から出られない」と話した。看護目標は、結核治療と併行して抗がん剤治療ができるように、疼痛マネジメントと心理サポートを行うことを病棟看護師と共に設定した。
【結果】病棟看護師と共に苦痛の評価を行い、A氏の「痛い」が疼痛だけでなく、悪心も「痛い」と表現していたことが明らかとなった。医師に抗結核薬の投与経路の変更について相談した。結核治療が継続でき、疼痛が緩和したことで自宅外出ができ「家族と過ごせて嬉しかった。結核治療も頑張れた。これなら抗がん剤治療も続けられる。」と希望を見出し、抗がん剤治療を行うことができた。
【考察・結論】がん患者が結核に罹患した場合、QOLの向上のためにはがんの症状マネジメントだけでなく、結核治療が完遂できることが重要である。病棟看護師とPCTが互いの持てる看護を補完し合うことの重要性を再認識できた。


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