示説 2 代理意思決定における看護実践について

〇櫻井 史子、清原 文
高崎総合医療センター


【目的】終末期の代理意思決定におけるガイドラインを用いた看護実践を振り返る。
【研究方法】事例研究を行う。当院の倫理規範に基づき、研究を実施した。
【事例紹介】A氏は60歳代で肺がんに対し手術と術後補助療法を施行した。翌年、腸閉塞のため緊急入院となった。A氏は、「最後は安らかに死にたい。早く終わりにしてくれよ」と家族に訴える一方で、医療者には「(鎮静すると)家族と話せなくなるのは困るよ」と訴えた。病状や呼吸困難感の増悪によりせん妄も出現し、持続的鎮静の導入が検討された。看護師はA氏が自己決定の困難な状態のため、家族が治療選択を行うことを倫理的問題として捉えた。緩和ケアチームは妻や長女と面談を繰り返し、思いや辛さを整理し、治療方針について話し合った。また、主治医や病棟看護師と、「苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン」に沿ってカンファレンスを実施した。
【結果】浅い持続的鎮静を開始し、眉間の皺が消え、症状緩和ができた。家族と穏やかな時間を過ごすことができた。
【考察・結論】十分な情報提供と、家族・医療者間での話し合いを重ねたことで家族が患者の推定意思を尊重し、患者にとって最善の治療方針をとる代理意思決定への支援を行うことができたと考える。「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を基に、最善のケアを共に考えていきたい。


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