特別講演U
弱気な自分と勝気な二人の自分?
 心が崩れ掛けた時、そっと手を差し伸べ、支えてくれた看護師さん

藤野永次
ぴあサポぐんま高崎サロン


 終戦直後のいわゆる団塊の世代、食糧や物資の貧しい少年時代、日本の高度成長期、バブルに沸いた、華々しい時、そのバブルがはじけ低迷した様々な時期を経験し、還暦を迎え、やっとひと息ついて間もなく、何の前触れもなく突然「がんです」と宣告されました。
 病気ひとつせず、入院した事もない自分がなんで!?抗がん剤の知識、辛さ、苦しさ、何ひとつ知らず、不安と怖さで押しつぶされそうに。主治医があきれるほど、治療前のインフォームドコンセントを繰り返し受け、その時も受け持ち看護師が付き切りで寄り添ってくれ、「納得ができるまで聞いて下さい」とアドバイスしてくれ、これから長期間の入院治療が始まると決心しました。
 主治医と受け持ち看護師を信頼し、全てを託しました。先に入院治療をしていた患者が吐き気、脱毛、高熱、その他副作用に悩み、苦しみ、耐えている姿を見て「俺は負けない!」とつぶやいたら、「我慢してはダメ」と看護師さんが耳打ちしてくれ弱気と強気の私をずーつと支えてくれました。
 血液内科の専門病棟ですから、患者の方のほとんどが抗がん剤治療で中には辛さに耐えきれずに途中で退院していく患者や、急な高熱を出し、数日後には息を引き取った「がん友」を目の当たりにしてきました。そんな体験談をご紹介したいと思います。


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