特別講演T
スピリチュアルケア
〜SpiPas によるアセスメントを中心に〜

田村恵子
京都大学大学院医学研究科教授がん看護専門看護師


 緩和ケアの広がりと共に、質の高い緩和ケアの提供にはスピリチュアルケアが不可欠であるとの認識が深まっている。しかし、臨床においてスピリチュアルケアの実践を進めていこうとすると、多くのケア提供者からは 「スピリチュアルつて何?」 「どうケアしたらいいの?」 「難しい。苦手だ」 などの言葉が発せられることが多い。本講演では、我々が開発を進めてきたスピリチュアルペインアセスメントシート(SpiPas)とその使用方法について紹介する。 SpiPas は2段階から構成されるアセスメントシートであり、日常臨床で使用しやすいよう会話形式となっている。第1段階では現在のスピリチュアルの状態のアセスメントを4つのスクリーニング項目を用いて行なう。こ の時点でスピリチュアルペインを感じていないと判断されれば、その状況のままで患者の観察を続ける。スピリチュアルペインがあると判断された場合には、第II段階の特定の次元におけるスピリチュアルペインのアセスメントへと質問を進める。患者の訴えや語りに耳を傾けながら、この患者の苦悩は関係性、自律性、時間性のどの次元に由来する苦悩であるのか質問例を用いて質問し、スピリチュアルペインの内容を明らかにする。さらに、スピリチュアルペインの内容に応じてケア計画を立案一実施、評価へとつなげることが可能である。 SpiPas を明日からの緩和ケアの臨床に役立てていただければ幸いである。


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