一般演題 4
患者と家族の希望を叶えるための早期退院支援

○古池きよみ1)、恩田千栄子1)、柚木礼子1)、上野裕美1)、黒潭磨由美2)
1)公立藤岡総合病院
2)訪問看護ステーションはるかぜ


【はじめに】
 在宅療養希望で県外の大学病院から転院となった終末期がん患者との関わりを振り返り、限られた時間の中で患者や家族の望む療養に向けて多職種で取り組んだ結果、早期退院が実現できた事例を報告する。
【事例紹介】
 60歳代男性、前立腺小細胞癌、肺転移、肝転移、骨盤内リンパ節転移、多発骨転移。 PS4、数日で経口摂取困難となっており、予後は週〜日単位と考えられた。
 転院翌日に多職種による退院前カンファレンス施行。妻の悲嘆や思いを傾聴し、不安の緩和に努めた。また、疼痛に対し日々薬剤評価を行いながら調整を行った。オピオイド調整中も全身状態は日々悪化していった。家族から「1日も早く家に連れて帰りたい。」との退院希望が聞かれたため、訪問看護師と連携し在宅移行後も薬剤調整を継続することとし退院した。
退院後も訪問看護師、主治医、薬剤師と連携をとりながら症状緩和を継続した。症状が緩和されると家族から自宅で看取りたいと希望があり、退院から4日後永眠された。家族より「最期に家へ連れて帰れてよかった。」との言葉が聞かれた。
【考察】
 在宅療養に不安を抱く要因として身体的苦痛の持続が関与していたため、早急な症状マネジメントが求められた。多職種で検討を重ね、症状緩和に向けた取り組みを行ったことで、症状を緩和することができた。また、本人一家族の思いや予後を考慮した退院支援を早期から行うことで、患者や家族の望む療養が実現でき、よき看取りに繋がったと考える。


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