示説 7
看護大学の学生が抱く緩和ケアに関するストレスと期待
〜臨地実習前後の比較〜

○藤本桂子1)、菊地沙織2)、二渡玉江2)、神田清子2)
1)高崎健康福祉大学保健医療学部看護学科
2)群馬大学大学院保健学研究科


【目的】
 “診断時からの緩和ケア”の定着に向け、看護学生に対する効果的な緩和ケア教育の重要性がさらに高まっている。そこで、本学の看護学生についても臨地実習前後における緩和ケアに関するストレスと期待を比較し、効果的な教育方法の検討を行うことである。
【方法】
 対象者はA大学医学部保健学科看護学専攻2年生と4年生、計165名。臨地実習実施前の2年生と実施後の4年生について基本的属性・死にゆく患者へのケアを行うストレス・緩和ケアを行う上で必要な看護教育の内容に関する自記式質問紙調査を行い、SPSSによる分析を行う。本研究はA大学倫理審査委員会の承認を受け実施した。
【結果】
 回収率74.5%、有効回答率97.6%であった。終末期がん患者のケア(実習を含む)の経験について、“あり”と回答した2年生は3.6%であるのに対し4年生は18.8%であった。死にゆく患者へのケアに対するストレスは2年生より4年生の方が有意に高かった。
 また、緩和ケアを行う上で必要な看護教育の内容として、「緩和ケアの理念と原則」「地域資源の活用」「法と倫理の問題」の3項目について、“とても必要”だと回答した割合が2年生より4年生の方が有意に多かった。
【考察】
 4年生は2年生より「緩和ケアの理念と原則」を踏まえたケアの実施や「地域資源の活用」の重要性を理解し、緩和ケアを取り巻く「法と倫理の問題」を認知していると考えられる。一方で4年生の約2割が死にゆく患者へのケアに対するストレスを感じていることから、ケア提供者のストレスを緩和する方法についての十分な教育が必要である。


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