示説 6
顔面神経麻痺により食事摂取量が減少した患者への
IASM 理論を用いた看護支援

○生方智美1) 2)、中蔦広美3)、藤本桂子4)、神田清子5)
1)群馬大学大学院保健学研究科博士前期課程
2)医療法人社団日高会日高病院
3)群馬大学医学部附属病院
4)高崎健康福祉大学保健医療学部看護学科
5)群馬大学大学院保健学研究科


【はじめに】
 顔面神経麻蝉による閉口障害・咀嘔力低下があり食事時に疲労感を訴えるが、「食べることは生きている証」と話される患者に、患者主体の症状マネジメントの統合的アプローチ:IASM (The Integrated Approach to Symptom Management)の理論を用いて介入を行った結果、食事摂取行動に対するセルフマネジメント能力が向上したため、報告する。
【研究方法】
 IASM理論を用いた支援の事例検討
【倫理的配慮】
 対象者に文書にて同意を得た。また、個人が特定できないよう配慮した。
【事例紹介】
 A氏60歳代女性。肺がんStageW、髄膜がん腫症合併にて顔面神経麻揮あり。閉口障害、嘸下障害のため食事時には口元を手で押さえて嘸下するなど自分なりの工夫を行っていたが食事摂取量は少なく、栄養状態低下も認めていた。「食べることは生きている証」と話されており、A氏の食事摂取は栄養状態改善のみだけでなく、スピリチュアルペインの軽減にも影響すると考えられた。 PS3、トイレ歩行には介助を要するが、意識清明、食事摂取行動は自立のため、セルフケア能力は備わっていると判断し、IASM の理論を用いて支援を行った。IASM の7段階に沿って介入し、食事摂取量減少を招く症状を定義し、メカニズムを理解した。そして、患者の体験とその意味を理解し、症状マネジメントの方略を明らかにした。その後、知識、技術を提供し、効果の測定を行った。
【結果−考察】
 IASM の理論を用いたことで、ベッドの頭部挙上角度の調整を自己にて毎回変更し、食べやすい体位の工夫を行うことができた。また、間食を利用し、夫の作ったスムージーを摂取するなど、栄養バランスを意識した食事摂取の工夫を行うことができた。がんの進行や食事摂取量低下などで ADL が低下している患者でも、主体性を引き出すことでセルフマネジメント能力の向上に繋がり、食事摂取行動の変化がみられたと考える。


プログラムへ戻る