示説 2
再発を契機にスピリチュアルペインを強く抱いた患者への看護支援
−村田理論を用いて−

○石井美希1) 2)、渡辺恵3)、菊地沙織4)、日下田那美5)、小林恵美3)、佐藤未和3)、二渡玉江4)
1)群馬大学大学院保健学研究科博士前期課程
2)伊勢崎市民病院
3)群馬大学医学部附属病院
4)群馬大学大学院保健学研究科
5)元群馬大学大学院保健学研究科


【はじめに】
 A氏(60歳代、女性)は、病気前会社経営者として15年以上仕事一筋で働いていた。今回再発を告知されたことで生の有限性を意識して無力感を抱き、全ての役割に対してコントロール感の喪失や、今までの希薄な他者との関係性から自己の存在に支えがないことを認識しスピリチュアルペインを抱いている状態であった。そこで村田理論を用いて看護介入をした結果、「病気が治っても治らなくても、以前からやりたかったことをやろうと思う」と変化を示したので報告する。
【研究方法】
 文書で同意が得られたA氏に対して、村田理論を用いて看護展開する。
【結果】
 A氏は再発により治療の意味や効果が見出せず、時間存在が脅かされていた。また、家族や他者へ自ら相談をすることがなく、仕事を休職し役割喪失を抱いていることから、関係存在と自律存在も脅かされていた。そのため、看護師との関係性を強化する目的で、傾聴やタッチングを行った。また、現在出来ている対処方法を具体的に伝えることや他者へ委ねることも必要であることを伝え、自律存在の強化が出来るよう看護援助を行った。その結果、治療について自ら情報収集し、会社経営に関しては長男に託す思いを語り始めた。また、「話を聴いてもらうと楽になる」と話すなど、時間一関係・自律存在が強化されたと考える。
【考察・結論】
 村田理論を用いて介入を行ったことで、各次元でのアセスメントによりA氏の苦しみを明確にすることが出来た。そして、ケアの方向性や優先順位が明らかとなり、効果的なスピリチュアルケアを行うことが出来たと考える。


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