示説 1
化学療法により多次元的な倦怠感を認めた患者に対する IASM 理論を適用した看護介入

○富田俊1) 2)、菊地沙織3)、日下田那美4)、北島美加5)
小出光子5)、手嶋千とせ5)、小林瑞枝5)、二渡玉江3)
1)群馬大学大学院保健学研究科博士前期課程
2)前橋赤十字病院
3)群馬大学大学院保健学研究科
4)元群馬大学大学院保健学研究科
5)群馬大学医学部附属病院


【はじめに】
血液がんのため化学療法を受けたA氏は倦怠感を強く訴えていた。倦怠感を Cancer Fatigue Scale (以下 CFS と示す)、倦怠感数値化スケール Fatigue Numeric Rating Scale (以下 FNRS と示す)で測定したところ多次元的な倦怠感を認めた。
 A氏のセルフケア能力に着目し、A氏自身で倦怠感のマネジメントできると考えた。そして、A氏が倦怠感の症状を主体的にマネジメントすることで、自己効力感を高めることにつながると判断し IASM の理論を用い看護展開をした結果をここに報告する。
【研究方法】
 文書で同意が得られたA氏に対して、IASM の手順に沿い倦怠感をどのように体験しているか捉え、方略をA氏と協働して模索し、自己効力感が高められるように看護展開し評価した。
【結果】
 A氏は NRS を使用したことで客観的に自分の状態を把握し、倦怠感の日内変動に合わせ入院生活を過ごすことや倦怠感を軽減する対処行動ができた。さらに、CFS は 37/60 点から 19/60 点と FNRS は 8/10 点から 4/10 点に倦怠感が軽減され、「何もする気になれない」と話していたA氏は「退院後に色々としたい」という前向きな発言を認めるようになった。
【考察・結論】
 倦怠感が改善した理由として @化学療法の有害事象が軽減 AIASM理論を展開する過程で、積極的な倦怠感の聴取や疾患に対する不安を捉えることで、A氏の考えが整理されたことや個室管理による孤独が緩和されたことが影響したと考えられた。
 したがって、症状のみに焦点を当てるのではなく、A氏が主観的に症状をどのように体験しているのか捉えることが症状緩和の一助であると考える。


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