怒りの中にある対応の難しい急性骨髄性白血病患者の援助
-ストレス・コーピング理論を用いて-


今井洋子1) 関根奈光子2) 藤本桂子3) 神田清子3)
1)群馬大学大学院保健学研究科博士前期課程
2)群馬県済生会前橋病院
3)群馬大学大学院保健学研究科

【はじめに】
怒りの感情は、ある出来事に自分が脅かされ、対応できないことに脅威を感じ、不安、緊張が増すことで生まれる。攻撃的な発言を行い、看護師から「対応の難しい患者」と認識されている患者に対し、ストレス・コーピング理論を用いて看護支援を行い、看護師との関係性に変化をもたらしたため報告する。
【研究方法】
ラザルスのストレス・コーピング理論を用いた介入事例検討。
【倫理的配慮】
患者本人から実習時に学会発表の同意を得た。また個人が特定できないよう配慮した。
【事例紹介】
A氏は60歳代、男性、急性骨髄性白血病(M2)と診断され化学療法にて寛解後、再発し造血幹細胞移植を受けた。急性GVHDによる下痢が出現した。
【結果・考察】
A氏は、自己概念の揺らぎや連続した新奇性の出来事、先行きが不確かな状況が重なり、今までのストレッサーに対するコーピングでは、対処が困難な状況が生じていた。怒りはA氏が崩れないためのコーピングであり、ストレッサーに対しての防衛機制が働いている状況が明らかになった。A氏が効果的なコーピングができること、看護師との関係性の再構築に向けて看護支援を行った。結果、A氏は不安を怒りとして表現していたことに気づき、不安を看護師に伝えることができるようになった。また看護師を労う言葉が聴かれるようになり、A氏と看護師の関係性に変化が起きた。理論を活用したことで、看護介入する方法が明らかとなった。

戻る