疼痛によりQOLが低下している終末期患者への看護
〜IASMを使用して〜


松村恵子
群馬大学医学部附属病院

 終末期には倦怠感、食欲不振、疼痛、呼吸困難感などさまざまな有害事象が一度に発生する。特にがん性疼痛は終末期がん患者の70%以上に発症し、正しくコントロールされなければ、生活活動への支障だけでなく、その他の症状も増強させてしまい、QOLの低下を招いてしまう症状である。
今回、原発性膵臓癌、肝臓転移、多発性骨転移で予後数週間の60代主婦A氏を担当した。A氏は、塩酸モルヒネの持続皮下注射を行っていたが、後頚部と左肩甲骨の疼痛コントロールができず、倦怠感と食欲不振も重なり、夜間は不安を訴え、日常生活行動が狭まっていた。そこで疼痛に対して患者を主体とした症状マネジメントの統合的アプローチ(an integrated approach to symptom management:IASM)IASMに沿って看護活動を行った。それにより、がん性疼痛を「どうすることもできない。」と言っていたA氏が、疼痛スケールを用いて表現することで「漠然とした痛み」から疼痛を客観的に評価できるようになった。また、提案するケアや気分転換を自分で選択し受け入れることができるようになり、疼痛の訴えが減少し、笑顔が増え不安の訴えもなくなりQOLの向上へと繋がったのでここに報告する。

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