終末期がん患者の辛い気持ちに寄り添う看護
−日常生活の援助で学んだこと−

小倉秀代
群馬大学医学部附属病院

終末期を迎えたがん患者は、疾患の進行に伴い全身状態の悪化が生じ、日常生活の低下を余儀なくされる。私達看護師は、今まで患者が生きてきた生活を少しでも維持できるように患者の希望を聴き、環境を整えるなどの日常生活を支えるケアを担う役割がある。
今回右肺腫瘍70歳代女性を受け持ち、身体的側面、精神的側面、社会的側面、スピリチュアルの4つ側面から患者を捉えて日常生活の援助をした。病状の進行に伴い、自分で起きることも立つこともできなくなった患者は「こんなことなら死んでしまいたい。」と話された。患者の気持ちを傾聴し辛い気持ちを受け止め共有し、患者に希望を聴いてトイレ歩行を介助したり、ベッドサイドにポータブルトイレを置いたりして患者の希望に添えるようにした。食事は摂取できなくなったがお茶は飲めていた。時々むせていたためお茶にとろみをつけた。患者は飲むタイミングをつかみ飲む量が増え、おいしくお茶を飲むことができた。患者は「元気になってお礼がしたい。」と話された。患者に食事を勧めると食事を希望し介助で1時間かけて食事を全量摂取できた。
この症例を通して看護師は患者の思いに寄り添い患者の気持ちを聴き逃さずに対応すること、患者の気持ちを尊重して受け入れていき患者の希望に添えるように看護していくことが大切であることを学ぶことができた。

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