海外旅行を希望した在宅中心静脈栄養法患者への援助

○福田未来 角田明美 廣河原陽子 星河幸代
群馬大学医学部附属病院

【はじめに】
近年、在宅医療の必要性は増加の一途を辿っている。その中で在宅中心静脈栄養法(home parenteral nutrition、以下HPN)は患者の家庭・社会復帰を可能にし、QOLの向上に大きく貢献している。
【事例】
40代女性A氏、末期胃癌、24時間HPN管理中。外来時にHPNを離脱しての海外旅行を希望された。ジョンセンの4分割法を用いて、本人の思いを尊重した旅行が実現可能であるかアセスメントし、介入を行った。また、適宜、他職種によるカンファレンスを行った。
【結果】
HPN離脱時と持参時の両方のパターンを想定し、起こりうるトラブルや必要書類・物品などをA氏と共に検討し、海外旅行の具体的なイメージ化を図った。また、HPN離脱シミュレーションを行う中で、A氏の気持ちが変化し、最終的に旅先を国内に変更した。
【考察】
起こりうるトラブルを検討する等の方法で、旅行のイメージ化を図る事ができ、海外旅行の実現には、多岐にわたる準備が必要であるとA氏自身が実感した。また、離脱シミュレーションを通して、身体的・精神的な葛藤や、病状の受容があったのではないかと考える。
【まとめ】
多職種で繰り返しカンファレンスの場を持ち、チームで介入した事により、複雑な事例であったが、効率的・効果的に介入でき、旅行に出かけたいというA氏の希望を尊重することができた。

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