がんの進行により身体状態が悪化し自尊心が脅かされているA氏に対する看護支援


○野村亜矢1) 2) 岸田さな江1) 堀越政孝3) 二渡玉江3)
1) 獨協医科大学病院
2) 元群馬大学大学院保健学研究科博士前期課程
3) 群馬大学大学院保健学研究科


【はじめに】
A氏は、がんと診断され、「少しでも良くなるのならできることはしたい」という思いを持ち治療に望んでいたが、身体状態が悪化し、排痰困難や倦怠感の増強によって起こったADLの低下の理由が分からず対処法が見えなくなっていた。病状を理解することで、自分で対処する能力があると判断し、その状態に合わせて対処できるよう介入する必要があると考えた。
【研究方法】
実習の同意が得られたA氏に対して、オレムのセルフケア理論をもとに看護展開をする。
【結果】
A氏の自分でやりたいという思いを尊重し、清拭や日常生活行動、排痰において主体的な取り組みを生かすことで、徐々に全身状態が悪化していく中でも、「できる」ことを促し、出来ない部分は代償して行うことでセルフケアを維持することができた。
【考察・結論】
A氏は自分でしたいという思いが強く、それを行う対処能力もあったため、できることや伸ばせる能力を生かすことで、A氏の主体的な取り組みを支え、セルフケアの充足を図ることができ、自己の存在の尊重につながったと考える。また、A氏への関わりにくさを感じていた病棟看護師は、A氏の状況を理解し共にケアを行う中で、関わりに変化が見られた。

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