がん治療における看護師の意思決定支援の内容


○小池瞬1) 2) 藤本桂子3) 神田清子3)
1) 公立富岡総合病院
2) 群馬大学大学院保健学研究科博士前期課程
3) 群馬大学大学院保健学研究科


【目的】
がん患者はがんと診断された時から終末期に至るまで連続的に意思決定を求められる。看護師が患者の権利を擁護しながら,意思決定のプロセスを支援することは重要である。本研究の目的は,がん治療における看護師の意思決定支援に関連する論文の分析により,意思決定プロセスにおける支援内容を明らかにし,意思決定プロセスにおける看護師の効果的な支援について検討することである。
【方法】
Web版医学中央雑誌(Ver.5)を使用し“がん”“治療”意思決定“”支援“をキーワードに検索を行った。研究内容に沿った原著論文38件を分析の対象とし,内容分析を行った。各研究結果や考察から明らかになった支援内容をコード化し,コードを研究内容の類似性に従って分類,抽象化しサブカテゴリ化,カテゴリ化した。
【結果】
意思決定支援の内容は,「信頼関係を築く際に,日常的に支持的な関わりを持つ」「患者が自らの価値観を認識できるよう促し,その価値観を支持する」「患者の置かれている状況を理解し,患者が厳しい現実に向き合えるよう寄り添う」「患者の理解度を確認しながら,患者が理解しやすいように情報提供をする」「患者や家族,チーム内での橋渡し役となり意思決定を支援する」「患者が意思決定できたことを評価・支持する」の6カテゴリから形成された。
【考察】
意思決定支援の内容は明らかにされている。しかし,患者の意思決定のプロセスを支援する介入研究はない。それゆえ,今後,患者・家族が主体的な意思決定を行うためのより効果的な支援方法を開発・評価する必要がある。つまり,因果仮説検証研究などの介入研究を積極的に行っていくことが望まれる。

戻る