がん患者のQOL尺度を用いた研究の動向と課題


○日下田那美1) 菊池沙織1) 今井洋子1) 藤本桂子1) 神田 清子2)
1) 群馬大学大学院保健学研究科博士前期課程
2) 群馬大学大学院保健学研究科


【目的】
がん患者は、がんと共に生きる期間が延長しており、身体・心理・社会的要因がQOLにどのような影響を及ぼしているか把握することは必要である。本研究の目的は1995年から2013年までに国内で掲載されたがん患者のQOL尺度を用いた研究の動向と課題を明確にすることである。
【方法】
Web 版医学中央雑誌(Ver.5)を使用し、“がん”“患者”“QOL”“尺度”をキーワードとし、原著論文、看護文献に絞り検索した結果、得られた175件のうち、がん患者を対象とした文献119件を分析対象とした。論文の研究内容については、バーンズ&グローブ看護研究入門の量的研究のクリティーク・プロセスを参考に分析した。
【結果】
研究の概要で、治療法は化学療法39件で最も多く、使用されたQOL(多次元)尺度はSF-36とQLQ-C30が共に16件、FACT−Gが12件であった。SF-36では術前・術後の患者のQOLの違いを、FACT-GではスピリチュアリティとQOLの関係を、QLQ-C30では化学療法前後の患者のQOLとの関係を明らかにしていた。
【考察】
がん患者におけるQOL(多次元)尺度を用いた研究により疾患や副作用症状とQOLとの関係性が明らかにされているが、量的研究のプロセスに従って研究された論文はほとんどなかった。今後、信頼性・妥当性の高い研究結果を示すことで患者のQOLを維持・向上させる看護支援につながることが示唆された。

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