緩和ケア病棟における認知症ケアの困難感


○上原百恵1) 津金澤理恵子2) 山田 佳子1)
公立富岡総合病院 1)緩和ケア病棟看護師 2)緩和ケアチーム


 A病院には、がん患者へ専門的緩和ケアを提供する場として緩和ケア病棟がある。
入院基準は、1)緩和ケアを必要としているがん患者、2)本人が病名を知っていることが望ましい、3)本人が緩和ケア病棟への入院を希望していることを原則としている。本人の病気認識や意思決定が難しいという理由で、認知症患者の受け入れを行っていない緩和ケア病棟もあるが、A病院緩和ケア病棟では、認知症で病名や病状を認識できない場合でも受け入れを行ってきた。我が国の65歳以上の高齢者における認知症の有病率は、8〜10%程度と推定されており、今後、高齢者人口の急増と共に認知症患者数も増加し、認知症発症後にがんを発症する患者も増えていくと思われる。
緩和ケア病棟で認知症患者にケアを行う中で、ケアを拒絶されて十分に痛みを緩和できなかったり、患者から攻撃的行為を受けるなど、ケアの難しさを感じることがある。しかし、現状では、緩和ケア病棟に勤務する看護師が、認知症患者のケアでどのようなことに困難を感じているかは明らかになっておらず、個々の体験にとどまっている。今回の研究では、緩和ケア病棟に勤務する看護師に半構成的面接を実施し、認知症のあるがん患者へのケアで感じる困難感を明らかにしたので、報告する。

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