地域がんサロンの活動報告
〜「地域がんサロンぐんま」一年の歩み〜


安井鈴江
地域がんサロンぐんま・群馬県がんピアサポーター


【はじめに】
「地域がんサロンぐんま」は、2014年4月に高崎・前橋で第一回のサロンが開催され、12月には太田にもサロンを開設しました。今では、リピーターの方を含め、多くのがん患者やそのご家族が来られ「地域に根差したがんサロン」として歩みだしています。群馬県がんピアサポーター養成研修会修了者の有志と賛助会員が、ボランティアとして毎月1回開催しており、すべてを自分たちの会費で運営しています。
【活動内容】
「がんの悩みや不安、一人で抱えず話してみませんか?」
同じがんを経験したものとして、患者さんやご家族の心に寄り添うことが、地域がんサロンの主な目的です。訪れた方が少しでも穏やかな時間を過ごせるように、『おもてなしの心』を大切に、会場作りを心掛けています。
サロンでは始めに、必ず「お互いのマナーと思いやりのルールについて」を読み、確認します。大人数のサロンでも患者さんが自分の悩みを十分話せるように、自己紹介の後はコーヒータイムを長く取り、ピアサポーターも加わり、少人数で和やかな会話が進んでいきます。また、サロン直後に『ふりかえり』の時間を持ち、患者さんへの対応や、それぞれが抱えている状況について共有し、次のサロン時に活かします。
サロンに来られる患者さんの大半は大変厳しい状況の患者さんで、「いきなり余命宣告された方」、「もう使える抗がん剤がない」という方々もいます。自分の気持ちをどのように整理したらよいかわからず、初めて来られた時には暗く沈んだ表情ですが、同じような厳しい立場の方が、自分なりの対処法を見つけ、前向きに生きていこうとしているお話を聞いて、自分なりの道を見出されています。さらに、次に参加された時には、新しく来られた方に優しく寄り添い励ますなど、次々に素晴らしい“ピアサポーター”が誕生しています。そして、次もサロンに来られるよう体調を整え、治療を頑張ると笑顔で帰って行かれます。
尚、ピアサポーターのスキルアップ、そして、多くの方々に正しい情報をお届けするために、専門家の医師を招いて、ぴあサポぐんま主催で公開講座を開催しています。(平成26年7月「人がひとを支えること」・11月「抗がん剤の基礎知識と副作用について」・平成27年2月「がんの痛みのコントロールと医療用麻薬の基礎知識」)
【おわりに】
厳しい治療中であれ、余命が後わずかとしても、「自分らしく生きること」「誰かの役に立つこと」が人の心を支えているということを、地域がんサロンの活動を通して学びました。
参加者の笑顔を自分たちの喜びとし、これからも地域がんサロンを続けていきたいと思います。

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